アーカイブ : 2011年 11月

TOME 2011 はじまります。

今年も無事出荷することができました。

TOME 2011 販売開始です。

 

今シーズンの出来事を”農家トシ”の目線で振り返ります。

3月10日、次の日に全て棚から落下することは知らずに

シーズンの始まりとして大量の野菜の種を撒きました。

3月11日、もれることなく僕も大きな揺れを経験します。

電気が止まり、苗を加温出来なくなりました。

すでに芽を出していたキャベツの苗を枯らさないように

井戸から水をバケツで運んでかけてやりました。

春作業が始まっても良い頃なのに田んぼにトラクターの姿は見えません。

燃料の供給が止まったことはもちろん大きな原因でしたが

自衛隊車両や消防車が慌ただしく走り回り、ラジオから刻一刻と流れる情報を前に

農作業を始めることは難しくなっていました。

車からガソリンが無くなり、物流もストップ。

うちに野菜や米があるのにそれを必要な場所に運べませんでした。

田んぼに水を運ぶ用水路は破壊され、田植えは予定よりも1ヶ月近く遅れました。

東京電力の原子力発電所事故はあらゆるものを不安定にしました。

5月に予定していた農Music農Life-田植え- は中止にしました。

このタイミングの中で、僕はイベントを通して

消費者や仲間に何を伝えたらいいのか分かりませんでした。

農Music農Life-稲刈り- も同じ理由で開催出来ませんでした。

安全宣言がまだ出ず、出荷に待ったがかかった状態の田んぼに

一般の人に入ってもらって一緒に作業するのはのはちょっと無理でした。

楽しみにしていてくれたみなさん、ごめんなさい。

夏はめちゃくちゃ暑かったです。水不足にもかなり困らせられました。

雨を心から待ち望みながら、TVから流れて来くる国内の大雨ニュースを見ることも

珍しいことではなくなりました。

秋には大きな台風や大雨がありました。大豆やキャベツが頭まで泥水に浸かり

全滅した農家もいました。

ここ数年は異常気象が通常になりました。

稲穂が黄金色に染まり稲刈りの季節がやって来ました。

自分の米は本当に出荷できるのか。市場で値段がつくのか?

収穫の歓びの中に大小さまざまの不安を交えて

東日本の農家は稲刈りをしたのではないでしょうか。

各地から安全宣言の報が聞こえ始めました。

登米にも安全宣言が出され、出荷自粛が解除されました。

ほっとしました。

その一方で高い値の放射線量を検出したというニュースも聞こえて来ました。

安全宣言が出された米と、汚染された米の違いはなんでしょうか。

作られた場所の違いだけです。

農家の技術や、努力の差はありません。

結果的に汚染された米を生産してしまった農家を加害者扱いし

非難する意見も時々目にします。

そこで米を作らなかったら汚染された米が出来なかったという意味では

“正論”なのかもしれない。

でも、その正論はベストではないと思います。

その正論を僕は農家としてそのまま受け入れることができない。

危険な米が出来てしまったことは事実です。でも、危険な農家が作ったわけではありません。

誤解を恐れずにいえば、いや、めちゃくちゃ誤解を恐れながら言いますが

農家は悪くない。

なぜ当事者ではない僕がわざわざそんなことをいうのかといえば

そこにいた農家は僕だったかもしれないから。

汚染された作物の流通を認めることはできません。

それを食べて農家を応援しようという考え方も

絶対に間違っていると思います。

それはしっかり言っておきます。

でも少なくともその作物の先にいる人間、農家のことを少しでもイメージすることは

とても大切だと感じています。

大きな問題ではあるけれども、少しの想像力が問題を良い方向に

向かわせやすくするんじゃないかなーと思います。

食べる人を想って作り、作った人を想いながら食べる。

これはTOMEプロジェクトを初めた時から変わらぬ考えです。

思うような結果が出ていない部分もあるようですが、農地の除染作業や研究に多くの人が取り組みました。

沿岸部に広がる農地の瓦礫の撤去や除塩作業にも専門家からボランティアから沢山の人が取り組みました。

たくさんの人や団体が食品の安全を求め、放射線量の計測や行政への働きかけ、情報提供を行いました。

全ての食を守ろうとした努力と、これからも続けられて行く努力に敬意を表します。

今シーズンほど食や農業について深く考えた年はありませんでした。

食糧を生産することにこれだけ強い責任感を感じ

プレッシャーを感じたことはありませんでした。

TPPの問題も含め、目の前にある問題は文字通り山積みですが

できるだけ楽しそうに解決していけるデザインをみんなで生産していこうと思います。

頑張ります。

ということで、今年もTOMEをどうぞよろしくお願いします!

http://www.tome-rice.com